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「平成香川大学将来構想」への意見

学内からの連絡やアンケートの類いが殺到するこのごろだ.年末ってのは大学からの連絡が少なくなる時期だと思っていたが,年末ぎりぎりの直前である今の時期はかえって多いのだろう.

「平成香川大学憲章(案)」と「平成香川大学将来構想(中間まとめ)」について意見を出せと言われたので,合計 46 ページある文書をじっくり読んで意見を書いていたら半日 (12時間) 以上経ってしまった.ほかの教員もボクのようにまじめに取り組んでいるんだろうか.同僚の労力の軽減に貢献できるかどうかは分からないが,もとの文書抜きで「将来構想」にたいする意見を載せておこう.(もとの文書は機密ではないが,なんせ平成香川大学の存在する「平成世界」の文書なので,コピーしてこなければこちらの世界の読者に見せられない.で,大量にコピーすると著作権の問題が生じかねないのでギブアップした.) 意見は問題点に集中するが,「将来構想」にはいいこともかなり書いてあることは指摘しておく.また,かならずしも官僚的な感じの文章ではないが,流行りの概念がヘビーに出て来るので,読みやすいとは言えない.一部抜粋しよう:

全学の経営管理体制の強化方策として,学長及び役員会を中心とした戦略的なマネジメ ントに対し,マネジメント戦略とビジョンの策定・実施,事業ドメインの展開,組織デザ イン,効率的な資源配分に関する具体的な戦略的マネジメント及びガバナンスを展開して いく。キャッシュフロー予測・評価能力やコストマネジメント能力さらに効果的な財務報告能力などに長けた財務スペシャリストの養成を目指し……

引用した最初の文のように,何十回繰り返し読んでも意味がとれなかった文が少なくなかった.


「平成香川大学将来構想(中間まとめ)」にかんして意見を述べます.別メールの「平成香川大学憲章(案)」で述べた意見の一部は,「将来構想」にも該当します.

3頁「進路確定率100%を目指す」
大学卒業直後に進路を確定したい学生についてはそれでいい.しかしそんな学生ばかりではない.定職に就かず自分の可能性をいろいろ試したい者,ボランティア活動に数年間を費やしたい者,留学を目指して頑張る者,いろいろいるはずだ.実際,私の出身校 (ICU) では卒業時に進路を確定しない者が多く,何年もかけてやりがいのある職を得ていた.卒業直後ばかりに注目することで学生の自由な選択を阻害するのはよくない.
3頁「十分に高い受験倍率を維持し」
これは望ましいことではない.高い受験率はアドミッションポリシーが曖昧であることをしばしば意味する.大学がアドミッションポリシーを明確にし,受験産業が信頼できる情報を提供するようになれば競争率は下がる.
4頁「多様な選抜方法,柔軟な対応ということは,必ずしも多種類の試験を多数回実施するということを意味するわけではない」
ならば「多様な選抜方法」ではなくて「多様な人材を獲得する」という言い方でいい.
12頁「研究推進の方向性」
研究への過剰な干渉になっている.他人に研究の方向性を示してもらってもちっともありがたくない.もっと各研究者の自由を尊重してもらいたい.研究者個人個人が自由に自発的に研究できるように環境を整えることを最初の項目として挙げるべきだ.特に,研究の基盤として電子ジャーナルを幅広く確保することを含めてもらいたい.
12頁「限られた人的・物的資源と立地の特色を最大限活かして研究活動を活性化し,大きく進展させるためには,将来に向けた研究推進のベクトルを定める必要がある。」
これが当てはまる分野は限られている.生産活動には最適規模というものがある.多くの研究は個人レベルで行うのが最適である.むやみに重点分野を定めても,ほかの研究からリソースを奪う効果しかない.(そもそも重点分野を定めるなら,限られた人的資源にたよらず外部から研究者を呼ばないとダメだ.) 魅力のある零細うどん店を十軒あつめて一軒の大型店にしたら,ほぼ確実にもとの魅力は失われてしまうということだ.
13頁「研究コーディネーター」
はぁ?
16頁「応募資格のある全教員について,科学研究費補助金への応募を義務化することを検討する」
検討不要.そんなことは百害あって一利なし.科学研究費のための研究は研究計画を狂わせる.特定団体に補助を受けては自由な立場からの研究は不可能.(じっさい科学研究費を獲得して行われた経済学研究は偏った内容になっている.) 科学研究費の非道徳性ほかさまざまな問題点については,以下の「科学研究費補助金のデメリット」を参照: http://theorist.blog6.fc2.com/blog-entry-70.html
16頁「学内の特許取得を推進・支援するとともに」
推進しすぎないように注意して欲しい.特許は他人による利用を制限する独占的権利である.その望ましさについては議論が分かれるところだ.自由な学術のためにはむしろないほうが望ましいとも言える.
28頁「戦略的ディスクロージャー」
この概念には,積極的な情報開示をするのが有利になるという考えが根底にあるはずだ.言い換えれば,不利ならば情報開示しないという考えが背後にある.情報開示の有利不利の不毛な議論を誘発する可能性が高い.(そうしているうちにコントロールできなかった情報が漏れてしまって,タイムリーに開示しなかったことにより結局は不利な状況に陥る.) 大学運営のほかの問題と違って,情報は戦略的にあつかわないほうがいい.大学構成員の発言の自由を無用に制限するからだ.そもそも戦略的にあつかおうとしても,そのコントロールは不可能に近い.「積極的情報開示」という言葉を採用した方がいいのではないか.

以上

【2006/12/21 16:49 】
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