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今年,オークションにかんする本を二冊ゲットした.
このうち横尾 (2006) を通読したので感想を述べたい.批評性もなにもないので「書評」ではなく「感想」だ. まずボクがこの本を通読した事実とめったに本を読まない事実から,直ちに分かることがある.それはこの本を読むことの重要度をひじょうに高く見積もっていたということだ.この本に興味を持ったのは,それが情報科学とゲーム理論の境界領域をあつかっているためだ.
では感想をランダムに列挙しよう:
「勝者の災い」のクイズとそれから思いついた問題を述べてみよう.まずクイズ.
このクイズは,条件付き確率の演習問題にちょうどいいかもしれない.答は『オークション理論の基礎』あるいは横尾真のサイトの講義スライドを読めば分かるとおり,b=0 となる.正の買収価格を提示すると平均的には損をするのだ.わが学生の「低めの買収価格をつけていったん蹴られて,その後もう少し高い値をつける」というスバラシイ答は,残念ながら題意に沿わない. ただ,上のクイズで複数回の入札を認めるとどうなるかというのは面白い問題かもしれない.たとえば会社オーナーにとって,何回までの入札を認めるのがベストだろうか? 1回では会社は売れないのでベストではないはずだ.このアイディアは卒業論文のネタに使えるかもしれない.(これがすでにやられているアイディアならばだれかここにコメントしてくれ.もし新規性のあるアイディアならば,だれかペーパーを書いた上でコメントしてくれ.謝辞をだれにすればいいかって? 分からない人は,秘密コメントでメールアドレスを教えてくれ.そしたら教えよう.) 追記 (12/21/06). 『オークション理論の基礎』が「談合」に触れていることに言及した.「架空名義入札に触れる一方で collusion (結託,共謀) に触れていない (?)」という言い方は,談合について触れていないという誤解を生む可能性があったため.本文では,複数買い手がひとつの名義で申し込むことを collusion と呼んでいた.それも一種の談合と言える. |
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はじめまして。複数回の入札を認めたからといって、結果は変わらないように思います。
まず、「勝者の災い」のクイズを、投資家をプリンシパル、会社のオーナーをエージェントとするメカニズムデザインの問題として定式化します。投資家による(複数回の)入札は、プリンシパルが書ける契約の一種とみなせます。オーナーが何回目の入札でいくらの価格ならば買収に応じるか?という問題は、メカニズムにおけるIC条件で記述できます。(メカニズムデザインによるアプローチは投資家の戦略の逐次合理性を要求しない分だけ、制約が少しゆるくなります。その分、少し強めの不可能性定理を証明していることになります。) 顕示原理より、ダイレクトメカニズム(x(・),b(・))だけを考えることにします。オーナーは v を申告し、x(v) は買収が起こる確率を、b(v) は買収価格を表します。 オーナーのICは x(v)b(v) + (1-x(v))v >= x(w)b(w) + (1-x(w)) v です。いつものようにして、x(・)が単調減少であり、包絡線定理より x(v)b(v) + (1-x(v))v = (v=1 のときの利得) - ∫_v^1 (1-x(w)) dw が分かります。v=1 のときの利得が1以上であることに注意しつつ、いつもの重積分の計算をすれば、投資家の利得 ∫_0^1 (1.5v-b(v))x(v) dv は ∫_0^1 (0.5v-v)x(v) dv 以下になるように書き換えられます。x(v)が必ずゼロ以上なので、利得はゼロ以下に抑えられます。 以上です。間違ってたらすみません。
【2007/01/10 16:34】 | URL | さとる #h/avbyyw[ 編集] | 内容レベルから判断するに,もしや FK さんと共著のある ST さんでは.みなさんのような優秀な方はあと二年間は日本のジョブマーケットに出ないように.ボクのもと学生と競合するので.
で,残念ながら非協力ゲームの細かいところを忘れてしまったいまの自分には理解しがたいところがあります. -プリンシプルとエージェントをそのように設定する意味, -数回入札するダイナミックなメカニズムに顕示原理を適用してだいじょうぶなこと (そしてその結果が上のダイレクトメカニズムで表せること), -ボクの苦手な微積分の部分 などを計4時間くらいかけて目の前で説明してもらえたらなんとか納得できるかもしれませんが,文字と電話とかじゃ無理だろうなあ. 想定したコメントは「だれだれがやってる」「自分がこれからやる」といったものでした.答を提示してくれたのはありがたいですが,「簡単すぎてペーパーにならん」ということかな.しかし,ボクをふくむ多くの読者に取ってはじゅうぶん難しいはずなので,もしかしたら行けるのでは.機会があったら作成してみてはいかが. はい、STです。なにか一般的な不可能性定理からの系として導けるとは思うのですが、僕もあまり知らないので上のような長ったらしい返事になってしまいました。すみません。
論文になるかといえば、僕は少し悲観的です。証明が顕示原理+標準的なテクニックで済んでしまいますし、僕自身は、なぜ「複数回の入札を許せば結果が変わるかもしれない」と考えなくてはいけないのかよく分かっていないので、不可能性を示してもあまり驚きがありませんでした。 プリンシパルとエージェントの設定の仕方は「こうすればうまくいく」としか答えようがない気もしますが。あえていうなら、私的情報を持っている側をエージェントにするという通常の流儀に従ったから、と答えておきます。 ダイナミックなメカニズムであっても、エージェントの部分ゲーム完全均衡はナッシュの一種なので、顕示原理により、ダイレクトメカニズムが使えるはずです。(この意味でも、少し強めの不可能性定理を示しています。)このあたりは、インプリメンテーションと違ってメカニズムデザインで展開形ゲームを考える必要がないことと似ています。契約内容は(x(・),b(・))で尽くされていると思うのですが、間違っていたらご指摘ください。 微積分は僕も苦手(論文ではほとんど使ったことありません)なので、計算ミスとかあるかもしれません。
【2007/01/11 13:05】 | URL | さとる #-[ 編集] | さいわいわが大学にさとるさんのコメントを理解できたひとを見つけました.正しそうだということです.その同僚に教えてもらうことにします.コメントありがとうございました.
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