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「ビジネススクール? 研究は捨てたの?」と哀れみの視線
2004 年の夏のことだった.ある学会でわたしは古い知り合いの,学者たちと言葉を交わしていた.
「いま,平凡助教授さんはどこにいるの?」
「ずっと高松.ま,経済学科辞めてマネジメント研究科に移ったけどね.」
すると,何人かはほとんど
えっ? それってビジネススクール? もう研究は捨てたの?
という言葉を返してきた.他の多くの知り合いたちは言葉を失い,話題を変えようとした.反応にはいくつかのタイプはあったが,表情は一様だった.わたしは強い哀れみの視線を受けてしまった.

バックグラウンド

東京都立大学 (クビ大の前身)がビジネススクールを作ろうとしたとき,同大学の経済学者たちの一部に「経営学グループだけでは『ビジネス・スクール』はおそらく失敗に終わるであろう,そのときに経済学グループもとばっちりを受けては困る」と考えて,協力しようとした者がいた (戸田さんのページ).

大学ちがえど,私の状況も似たようなものだった.ただし私のばあい,それまで作っちゃいけないと主張し続けた専門職大学院構想に自ら飛び込むという暴挙に出たところが,平凡助教授の平凡なゆえんだ.それまで反対しボロクソに言っていた対象でも,「作ると決まってしまったら仕方ないじゃん」と,なんの節操も戦略もなく乗り込んで護送船団よろしく護送されることにしたのだ.なんという柔軟な思考の持ち主であろうか.戸田氏がいたらボロクソに言われたであろう (とは思ってない).そのことについて私は弁明しない.なにも考えがなくてやったことだから,弁明する材料を持たない.

言い忘れるところだったが,その護送船団は,普通の護送船団とはちがってどんどん沈む泥船から成っていた.つまり,修繕しつつ進まなければ沈没してしまうのは分かっていた.「ま,途中で海賊でも来たら脅して修理させようか」というくらいの安易な気持ちで (私は) 乗船したわけだ.

さて,2004年4月,専門職大学院は GSM (大学院地域マネジメント研究科) という名前でわたしの予想通り開設された.(GSM は Graduate School of Management の略.さすがに世界に向けて「地域」を自称するのはかっこ悪いと思ったのだろう.) 「市場で生き残るのが危ない運命でも,政府の段階で蹴ってしまってはドラマもなにもあったものじゃない.いなか者が頑張ってやっぱり失敗するドラマもあっていいだろう」ということで,科学省は蹴らないはずだ.そうわたしはにらんでいため,認可を受けること自体は楽勝だと思っていた.(認可されないことを恐れて「設置の申請を取り下げるべきだ」と同僚の大部分が主張したときも,私は勝算は高いと思っていた.一年延期すれば勝算は下がるとも思っていた.他にも内心そう思っていた同僚もいたかもしれないが,申請を取り下げるのは誤っていると彼らは主張しなかった.では,どうして申請を取り下げないことになったのか[あるいは取り下げを取り下げたのか].それは謎の「火葬場死体蘇生事件 (2003年6月)」があったからだ.) じっさい,そうなったのだ.

設置基準によれば,普通の大学院修士課程には「担当する専門分野に関し高度の教育研究上の指導能力があると認められる者」を,博士課程には「担当する専門分野に関し,極めて高度の教育研究上の指導能力があると認められる者」をある数だけ置くことなっている.一方,専門職大学院の専任教員は「担当する専門分野に関し高度の教育上の指導能力があると認められる」ことを要求されるに過ぎない.大学院修士課程の教員とちがって,研究上の指導力は要求されないし,博士課程の教員とちがって,極めて高度な能力は要求されないのだ.われわれは「研究」と「極めて」の欠落した,まさに「平凡」教員たちである.研究者たちが私に哀れみの視線を向けたのも無理ないのだ.

じっさい,博士課程を持つ大学では関連分野の専門職大学院の教員はまったく研究を期待されていない場合もあると聞く.きちんとした差別化が徹底しているのだろう.だが,私の大学では関連分野には博士課程がない.差別化がいい加減なのだ.だから「べつに禁止されているわけじゃないし,専門職大学院で研究してもいいじゃないか.できるはずだ」という気持ちで GSM に移ったのだ.哀れみの視線をくれた知人の研究者たちに個人的な気持ちを説明してもしょうがない.実績で示すしかないだろうな.(と言いつつ,けっこう説明したよなあ.なにも言わないことは研究から撤退したというシグナルを出すことであり,ますます研究者社会から取り残されてしまうおそれがあるから.)
【2005/04/13 19:58 】
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