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教員の個人ページに載せる内容を大学が指示するようになった日
さて,わが大学の web サーバー利用規程が変更になった.(そういえば大学名を決めていなかったな.大学法人 平成香川大学ということにしておこう.平成女学園も香川大学も高松市内に実在するから,それらを適当に混ぜた名前にでも.と思って調べたら平成女学園ってのは高松にはなさそうだ.まあいいか.) 新規定は市内にある香川大学の 16 年度の規程 (これ自体,変わるという話だが) を少し変えた感じになる.たとえば以下のような新規程がある:


第4(掲載情報) 公式ホームページ及び個人ホームページに掲載できる情報は、本学における教育研究、地域貢献及び大学法人平成香川大学の運営等活動状況を公開するにふさわしいもので、適切性、正確性及び最新性に配慮し、例えば以下の各号に掲げるものとする。
 (1) 大学法人の運営に関する情報
 (2) 本学及び部局の概要に関する情報
 (3) 本学の教育研究活動に関する情報
 (4) 本学学生の学習研究活動、課外活動に関する情報
 (5) 入学者選抜に関する情報
 (6) 本学が主催する行事に関する情報
 (7) その他委員会が必要と認める情報



以前の規程では「公式ホームページに掲載できる情報は、本学における……」と始まっていた.今回,個人ホームページがこの条項に追加されたところが新しい.旧規程を制定したときの初期の案では,(大学や学部による) 公式ページと(教員や学生による) 個人ページとを区別せずに,公式ページが扱うような内容を大学すべての web ページが提供することになっていた.これは組織の提供する情報と個人の提供する情報をごっちゃにした妙な話であり,学問の自由にも反するので個人ページを区別したのだ.新規程はその教訓を忘れて制定されてしまったようだ.

そもそも,大学が学術や教養や芸術の場である限りその対象は限定できないはずなのに,教員や学生が載せるべき内容を大学が指示するという事態はおかしい.個人ホームページに掲載する内容が旧規程に言及されていなかったのは,同規程の趣旨にもある「あらゆる見解や表現の自由を保障する」ためだ.そのことも認識せずにこのような変更を行うとは,無責任もはなはだしい.

仮に新規程が有効性を持つとすると,今度は大学や学部の提供する公式ホームページ自体が新規程からいろいろ逸脱しているように思えて来る.(まあ,上記の条項に掲載情報として挙がっている7項目はそこにも書かれているように「例示」に過ぎないということだろう.しかし,公式ページが「例示」を逸脱している以上,個人ページが「例示」を逸脱するのを責めるのは恣意的というものだろう.) たとえば,以下のような項目はさっさと (委員会で決めて新規定により7日以内に) 公式ページから削除しないとまずくないか.

●本学とはかかわりのない経歴
たとえば研究者総覧に載っている経歴は平成香川大学とは無関係で,研究者個人にしか属さないものがある.過去の履歴であっても,将来または現在の平成香川大学における研究教育活動と密接に関係するものもあるだろうが,規程に厳密に従えばそれらも掲載すべき対象にはならないだろう.

●本学以外における教育研究活動
まずは規程にしたがって,教員の学外の学術ジャーナルや学会での論文発表,過去(あるいは現在) の職場や非常勤講師をした大学での教育研究活動,学会その他教員が自らかかわった団体における講演活動などの情報を公式ページから削除すべきだ.(7日プラスちょっとで.) ただし例外がある.同条項に「本学における教育研究、地域貢献及び国立大学法人平成香川大学の運営等活動状況」を掲載できるとあるからだ.大学以外での活動でも,「地域貢献」ならば掲載していいのだ.(しかしねえ,あんた,世界で見れる Web への掲載を問題にしてるときになんでわざわざ地域限定するの…….しかも県立でも市立でもない大学じゃなかったっけ.) 地域貢献にならない人類への貢献の類いは掲載対象ではないので,公式ページから削除した方がいいだろう.「われわれは過去と分断されて存在しているわけでも平成香川大学のためだけに活動しているわけでもない」とか「講演など学外での活動について知りたいホームページ訪問者に,同時に平成香川大学での活動についても知る機会を与え,いい宣伝にもなるはずだ」といった意見は,新規定ではばっさりと切り捨てられることになる.

●啓蒙・論評活動
公式ページではたいしたことはやっていないが,掲載されているメールマガジンなんかで少しはやっている.それらのうち平成香川大学にかんする部分以外は,公式ページから姿が消えなければ新規程に反するだろう.公式ページはそれでも構わない.啓蒙も論評もしないのは大学として無責任かもしれないが,大学が統一見解を持つことはあまりない.意見の類いは個人ページでやればよい……だが,それが想定されていないのが新規定だ.

いろいろな形で積極的に情報を公開することは大学の社会的責任を果たす上でも欠かせない.ごくわずかな研究者しか読まないジャーナルへの論文発表だけでは,この責任をじゅうぶんに果たせないのだ.書籍や月刊誌エッセイやwebページなど,いろいろな媒体を使ってこそ,幅広い人々に啓蒙できる.ところが新規定によれば,平成香川大学の web に掲載出来る内容はきわめて限定されているのだ.啓蒙や論評での対象は平成香川大学とそこでの教育研究活動に限定されている.これでは社会的責任をじゅうぶん果たせない.

新規程によれば,平成香川大学の問題点についての論評は (平成香川大学にかんするものだから) 載せるのはよくて,国立大学法人一般や教育機関一般 (さらには官僚組織一般,政府の存在の害悪など) についての問題点の論評は載せられるのかどうか不明になっている.社会科学者としてひとこといえば,自分は平成香川大学という一機関にだけ関心があるわけではないし,仮に平成香川大学について書くにしても,より大きな対象をひとくくりに書いた方が客観的にも書けるというものだ.

掲載出来る材料を現在取り組んでいる研究・教育テーマ,あるいは過去に平成香川大学で取り組んだテーマに限定しないで欲しい.教員が現在考えていることは将来,平成香川大学での研究教育活動に取り込まれる可能性がある.(私のばあい,毎年のように自分にとって未知の分野の授業を担当してきた.) たとえば私の長期的なテーマにエロとの共生を考えたものがある.表現の自由とのかかわりでエロを扱う伝統的視点にたいし,認知ギャップ・情報の非対称性からエロの発生とその暴力化の条件を探り,非暴力的なエロに対する差別を取り除いてエロとの真の共生社会を実現する……一部のフェミニストによる社会選択理論も視野に入れた社会理論ともかかわるテーマだ.これなんかは材料を少しずつ集めている段階であり (正直言って買って損したと思う文献が多い),まだ集中的な研究はできていない.しかし,だからといって書くなと言われれば,研究はますます停滞する.少しずつでもいいから,一般向けに発表することで思考を深めて行くという蓄積が大切なのだ.

このままでは内容のあるホームページが次々と大学から消えて行くことになる.知の最前線の学外「アダルト可」サーバーへの大移動は,良くも悪くも加速せざるをえない.

つづく
【2005/05/24 17:59 】
| 大学 | コメント(2) | トラックバック(0) |
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コメント
頑張れ、鬼ちゃん。これのことだったんだ。
鬼ちゃんのブログ経由で相変わらず色んな人がくるからおもちろいよ。
一人、礼儀知らずというか人をバカにしているような人がいましたが。なんとかっていうブログやってる大学院生。
【2005/05/24 23:39】
| URL | ホーミー #-[ 編集] |
どうせ経済学をやってる院生だろ.経済学をやる大学院生に世間的な礼儀を期待するほうがまちがってる.学問的に誠実であれば問題ない.
著作権を侵されたとか名誉毀損されたということでなければ,ホーミーの作品をどう批評されたところで止めることはできない.それが自由学術のルール.
【2005/05/26 15:04】
| URL | 平凡助教授 #-[ 編集] |
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