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Rationales: 行動経済学って社会選択理論の特殊ケース?

そんなわけありませんよ~ (たぶん).断定すべきかどうか迷いがあるのは,ボクが事情に詳しくないからだ.古典的な合理性を信奉してきて,奇妙な疫病にかかるのを嫌がってきた自分は,これまで進化経済学 (だっけ? 進化ゲーム理論ってのはあるけど) とか実験経済学とか行動経済学と呼ばれるものを (ほぼ) すべて避けて来たから.いざ必要となれば,だれか若い者でも拉致してくればどうにかなるだろう (楽観的すぎるか?).とはいうものの,行動経済学の新書くらいなら買ったことはある.たいしてスペースを取らない本だし後悔してはいないけど,買った直後に有力な研究者の本が日本語で続々と出たときは,こんなことならもう少し待ってから買えば良かったとは思った.

でも,行動経済学に分類できそうな論文のなかには,「これって社会選択の言い換えじゃん」と言いたくなるのは確かに存在する.社会選択理論が奇妙なところで復活しているのだ.あぶない,あぶない.(いや,もともと死んでないんだけど.) たとえば以下のような論文だ:

Jose Apesteguia and Miguel A. Ballester (2008), A characterization of sequential rationalizability. http://d.repec.org/n?u=RePEc:upf:upfgen:1089&r=cdm

Manzini, P. and Mariotti, M. (2007) Sequentially Rationalizable Choice. American Economic Review 97.

社会選択っていうのは,たとえば何人かの個人がいてそれぞれが選好 (選択肢にたいするランキング) をもっているとき,それをどうやって集計したらいいか?って問題をあつかう.なんとこれらの行動経済学の論文では,個人ひとりひとりがひとつの選好を持つ代わりに,複数の rationales を持つのだ.ひとりの個人のなかに複数のサブ個人がいて,それぞれが "rationales" とよばれる「選好」あるいは選択の基準をもっている.そして個人の選択はそのサブ個人の rationales の集計によって決まる.社会選択で「個人の選好」と呼んでいたものを "rationale" と言い換え,社会レベルで実行される選択とみなしていたものを個人レベルで実行される選択に置き換えたわけだ.

そういえば個人がいろいろな選好を持っている---ひとりひとりが複数の分身からできている---というこの奇抜な解釈には見覚えがある.そう,たとえば Mihara (1997) の無限人個人の解釈では,個人が「世界の状態」ごとに異なる選好を持っていた.あの論文は,ちょっと変えれば行動経済学の論文になっていたのかも~.

個人の選択をうまく説明しそうな集計方法が,社会選択の視点で見て望ましいものになるとはかぎらない.よって社会選択と同じフレームワークを用いたとしても,行動経済学オーディエンス向けに重点的に取り上げられる集計方法は,社会選択からみれば奇妙なものだったり珍しかったりということはあるだろう.たとえば上記引用論文でいう "Sequential rationalizability" ってのは,選択肢をまず最初の rationale で振り分けたのちに,つぎの rationale を適用するというものだ (一般的には rationales は何個あってもいい).つまり

ratinale 1 で最大化をして,もし選択肢がひとつに絞られればおしまい.そうでなければ rationale 2 で最大化をして選択肢をひとつに絞る

というものだ.これでけっこういろんな「非合理的」行動を説明できるらしい.これは社会選択理論でいえば,独裁的なルールと呼ばれるものの一例で,基本的に独裁者 1 が決めるが,独裁者 1 が無差別なばあいにかぎっては独裁者 2 が決めるというものだ.べつに望ましいルールではないけど,都合のいい例を作るときの便法にはなる (Mihara, 1997, Example 2 参照).そういうふうに社会選択ではかならずしも積極的な意味を与えられなかったルールが,行動経済学の観点からみれば現実をけっこう説明できる理論になるというのは興味深い.

あぶない,あぶない.行動経済学なんぞ私はまったく関心がないのだった.ハマってはならんぞ.

(HRM からの寄稿)

【2008/06/07 01:08 】
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