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犬島アートプロジェクト: やけに美しい精錬所跡と三島由紀夫の怨念

船を乗り継いで,犬島アートプロジェクト「精錬所」(Inujima Art Project Seirensho) に行って来た.やけに美しい廃墟のなかに埋め込まれた美術館内で,三島由紀夫の文字に込められた怨念を感じ取ることができる.廃墟と美術館の組合せは意外と少ないかもしれない.

三島と犬島とはなんの関係もない (はずだ).たかだか「島」の字が共通するくらいだ.もちろんアーティストは「日本の近代化のありかたに疑問」とかなんとか言って結びつけるかもしれない.鑑賞する人がかすれる程度の関連をそこに見いだすとき,その意外性に想像力をかき立てられるということだろう.少なくとも三島に関連する博物館や記念館で「旧三島宅」として見せられるような退屈さはない.

蛇足

  • 「三島由紀夫ってだれだ?」って疑問に思う人はあまりいないと思うが,念のために補足しておく.大阪万博のあった1970年に陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地に籠城して自衛隊決起を促す演説をしたあと自決した右翼文学者だ.洋書店の日本関係コーナーでおなじみの Mishima と言った方が分かりやすいかもしれない.この美術館が Mishima を題材に選んだあたりは,さすが外国からのお客を意識している?
  • 詳しくは書かないけど,あの文字アートは映画 THE MATRIX に出て来るものに似ていた.

屋外の銅の精錬所というか工場の遺跡はかっこよかった.カラミ煉瓦造りの工場跡といい大煙突といい,異様な美しさを誇っていた.天気もよかったせいか,廃墟らしい汚さも寂しさもまったく感じられないのがかえって寂しいくらいだった.わざわざ予約して高い乗船料を払ってここまで来た甲斐があったと思った.

  • 公式サイトには「90年近くを経てかつての大規模な精錬事業を伺わせる遺構が良好な形で残されています」とあるが,「90年しか経ってないのにここまで崩れていていいのか」と思わなくもなかった.天井部分を残した建物が見当たらないのだ.まあ,それゆえ美しさが増しているという面はあるだろう.
  • 廃墟部分は決められたコースのロープの内側をツアー形式で歩くことになる.廃墟マニアにはもの足りないかも.発電所跡にも煙突の真下にもかまどのような倉庫のような小部屋の中にも入れなかった.公式サイトの「注意事項」に「敷地内は、遺構をそのまま残している部分もあり、一部倒壊危険区域があります。ご見学は個人の責任にてお願いします」とあるので,もう少し期待していたのだけど…….ツアー後に「個人の責任」で回れる部分は美術館周辺に限られていた.それでもからみレンガの壁のなかを歩き回ることはできたので,ボクは満足だ.
  • 素朴な疑問.精錬所の建物はカラミ煉瓦でできている.カラミ煉瓦は精錬所における銅の精錬過程で発生する鉱滓からできている.では,精錬所とカラミ煉瓦はどちらが先にできたのだろう?

関連サイト

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【2009/11/25 05:21 】
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