スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【--/--/-- --:-- 】
| スポンサー広告 | コメント(-) | トラックバック(-) |
平成香川大学教員総合評価の問題点

「教員評価は問題点だらけだ.さっさとやめたほうがいい!」といった根本的な解決策を理事たちは受け入れないだろう.少なくとも学内から主張しても彼らは聞く耳を持たない.学外の人事評価の専門家あたりに彼らを教育することを期待したい.ここでは現在想定されている案を少し改善することを考える.グローバルな最適ではなく,あくまでも微修正によるローカルな改善策を示す.なんて私は親切なんだろう.秋あたりから理事に抜擢されるかもしれない.

これにかぎらないが,そもそも大学で会議をやるときの「案」というのは,結論だけ書いている.なんの理由も説明もない.まったく説得力がない.なにかを提案するならきちんと理由を述べるべきであるという常識は,大学には通用しないようだ.

1. 年度はじめの目標設定とその実現確認

なぜか資料では触れられていないが,この評価方法でもっとも重要なのは年度当初の目標設定と年度後の達成状況の確認だったはずだ.年度はじめにその年度にかんする重み付けと目標を自己申告するというものだ. (重み付けとは,教育,研究,社会貢献,大学運営のそれぞれに計10点を配分するものだ.年度末総合評価は各項目の点数を重み付けしたうえで加算することで決まる.ただし GSM のばあい自由度が低く,9点分はすでに配分が決まっている.) しかし目標の実現には通常数年はかかることを考えると,このやり方は不適切だ.

  • 研究のばあい

    ほとんど説明不要だろう.今年論文を一本書くと目標を定めて仮に年度内に完成したとしても,じっさいにそれが刊行されるのは数年先だ.これでは成果を年度内に確かめることはできない.実際はすでに掲載が決まった論文が年度内に刊行されると予想するときに,その年度始めに研究の重み付けを高めにする---といった操作を事後的にやることになるだけだ.目標とその達成という関係はそこにはない.

  • 教育のばあい

    FD (Faculty Development) として,担当科目にかんする参考文献を読むのはひじょうに重要だろう.だが,そういう目標では実行したことを立証するのは困難だ.したがって目標設定としては目に見える結果を出せるものにならざるをえない.

    たとえば留学生に対応した授業ができるように,韓国語を学ぶというのは立証可能な目標だ.これは実際に韓国語を使った授業をすることによって立証できる.しかし一年以内に目標を達成するのは多くの教員にとって困難だろう.

    資格の獲得も立証可能な目標だ.たとえばオペレーションズリサーチの科目の教育能力を向上させるために,一級オペレーションズリサーチ技師,中小企業診断士,Certified Public Accountant の資格をすべて取るという目標を掲げたとする.これらが実現したかどうかは確かに証明可能だが,少なくとも私の場合一年以内に獲得できる自信はない.

    (ちなみに FD として評価項目に入っているのは「馬鹿ルティディベラプメント」とよばれる研修会への参加だけである.「FD」といえば組織的な研修のことと思っているのだろう.すごく恣意的だ.研修会なんかよりも関連情報の載った web サイトでも読んだほうがよほどためになるのに.ということで上に上げたような目標がどこでカウントされるかは不明.)

以上により,研究であっても教育であっても目標実現には通常数年はかかることが理解できたことだろう.(また,立証可能な目標を立てることの意義も疑問に思われるだろう.関連分野の最新成果を学ぶといった重要な努力が削減されるから.) 目標設定とその実現で評価するなら,より長いタイムスパンが必要である.もし年単位でやるならば目標設定や事前の重み付け申告はやめたほうがいい.DEA (data development analysis; 包絡分析法) のように,評価対象者にとってもっとも有利になるように事後的に重み付けを決めれば済むはずだ.現状でもすでに完成した研究成果の発表をある年度に先延ばしして,その年度当初に研究の重み付けを高めるといったタイミングの操作は可能である.発表のタイミングと申告のタイミングという二変数の操作の巧さ次第で評価が左右されることを考えると,重み付けをあらかじめ申告しない方式の方が変数が減る分弊害が減るのではないか.

2. 研究活動評価

2.1 「研究費獲得状況」が評価されるのはまちがい.

これはカネがかかっているというだけで会社のあるプロジェクトが評価されるようなものであり,明らかにおかしい.研究費はその研究が完成するより前に出るものだから,その研究にたいする評価とはなりえない.研究に資金が必要であることを認めたに過ぎない.研究としてカウントできるのはあくまでもその研究費獲得の結果として出したアウトプットであるはずだ.

2.2 評価基準

評価は A, B, C の三段階だ.良い方である A または B を獲得する必要条件は,成果物の種類で分類された項目2つ以上が該当することだ.論文を10 本書いても評価は C である.(その一方で,論評一本とできの悪いポルノ小説 [ケース教材; 分析は一切いれずに記述に徹した文書] 一本で B 評価は得られる.あるいは論文1本と研究ノート1本ならば,項目二つが該当するので B 評価は得られる.同じものを論文とよぶか研究ノートでよぶかだけで研究評価が Cになったり A になったりする.) 組織全体としての活動あるいは個人の長期的な研究活動に幅を持たせるという意図ならば,理解できなくもない.しかし対象期間は 3 年である.分野にもよるだろうが,ひとつの研究を構想して完成させるまでの期間にも及ばないかもしれない.このような短期間に成果を上げるには,特定の項目に集中しなければなかなかむずかしいはずだ.提案された評価方法は,大学の研究水準を下げることを目的にしたものと思わざるをえない.

2.3 . Web 上の情報発信

Web での情報発信はどの項目にふくまれるのか明確にしてほしい.たとえばほとんど研究ノートのようなブログ記事もあれば,より一般人を対象とした記事もある.これらは研究活動や社会貢献活動のどの項目にふくめればよいのか? 学術機関リポジトリにかんする別資料にも"Online or Invisible" (オープンアクセスでないものは存在しないに等しい) とあったように,Web 上での情報発信はきわめて重要である.平成香川大学における経済学の知名度の重要部分は良くも悪くも私の Web サイトに負うている! (主観的に聞こえるかもしれないが,これって常識だ.恐ろしいくらい実感している.だって「平成香川大学」を名乗るのはこのサイトくらいだから.) その重要な貢献を評価しないのは極めて恣意的であり,私個人を不利に扱おうという意図が見え見えである! 特定個人を想定してその個人に不利になるようにルールを作るのは不公平の極地だ!

あんたね,だれのおかげで (経済学徒のあいだで) 平成香川大学の輝かしい (というか最低限ギリギリの) 名声が保たれてると思ってんだ,ボケ! 自分としては,表彰されないことのほうが不思議だよ.

2.4. 年度単位での評価はおかしい

学術誌や書籍はどの年に出版されたかというのが重要であって,どの年度というのは重視されない.論文における引用文献の書き方を見ればあきらかである.これらを年度単位に評価するとなると,(ときには不明な) 出版月まで調査する必要が出て来る.データの管理に余計な手間がかかる.出版物は1月から12月までをもって構成する年単位で評価するようにしてもらいたい.一年は 4月にはじまって3月に終わるというサイクルで世界が動いてるわけじゃないよ.ほんとその井の中の蛙の地動説の頭,(じゃなくて天動説だな; 7/27/07 追記) どうにかならないか!

3. 運営活動

3.1 役職による貢献ばかりを基準にしている

役職とは無関係な貢献をふくめるべきだろう.たとえば GSM の公式サイトについて私は各種の具体的提案をしている.人知れずモデルプログラムを作ったのも,科目群の英語名をアドバイスしたのも,各種規定のさまざまな穴を列挙したのもいったいだれだったんだろうね.その一方で役職にあっても,たとえば教員評価の資料の記入方法さえまともに説明できないひとがいたりする.(そのためもあって,私は今年度資料を提出できなかった.) 情報を独占して仕事の流れを止めてくれるひともいる.貢献と役職にあるかどうかとはたいして関係ないのではないか.

3.2 平均以上の授業負担は運営活動とは関係ない

なんで平均以上の授業負担が運営活動でカウントされるのか? カウントしたいならば,運営にたいする重み付けをゼロにするのを認めればいいだけだ.なんでこんな複雑なことをするのか.

4. 教員評価全般

一大学がこのような恣意的な教員評価を導入したところで,研究や教育が改善できるとは思えない.できるというならば,なにが改善するのか具体的に挙げて欲しい.少なくとも研究の分野では研究者たちが長年かけて築いて来た評価基準が確立している (例外分野はあるにしても).学内で高く評価される一方で世界でまったく相手にもされないような研究者をこれ以上増やすことは,さっさとやめたほうがいい.

スポンサーサイト
【2007/07/20 11:26 】
| 大学 | コメント(0) | トラックバック(4) |
| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。