スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【--/--/-- --:-- 】
| スポンサー広告 | コメント(-) | トラックバック(-) |
交詢社の紳士録がなくなるらしい

120年近く続いて来た人名録の元祖「日本紳士録」(発売・交詢社出版局,発行・ぎょうせい) が今月刊行の第80版で休刊することになったそうだ (「消える“名士の誇り”日本紳士録…120年に幕」).まだまだ続くと安易に考えていたので,意外だ.

ちなみにこの記念すべき第80版にはボクの名前も載ることになっている (ただし「平凡助教授」とはちがう仮の名で).ここのところ数年間,掲載の誘いが来ていた気がする.「大学で求められる社会貢献あたりの対策になるかも (たぶん無理だろうけど)」というわけで,今回は掲載することにしたのだ.それが最終版になるとは,ちょっと驚き.

居の上さん (交殉社): ということで,まちがいなく第80版には載りますので.

平凡助教授: それは光栄ですねえ.[ボクとしては当然ながら「人格、識見ともに日本人の代表たりうる人」ってわけだ.ひとを研究者あつかいしない,態度でかいアホ学長もこれで黙るかも……]

居の上さん: ところで,先生,よかったらご購入なさいませんか.

平凡助教授: アハハ.10万円は高すぎますよ.[2000円くらいなら親への土産として買ってもいいんだけど……] 大学教授のようなケチな人種じゃなくて,もっとお金の余ってる紳士に頼んでくださいよ.

居の上さん: さようでございますか.では,またいずれということでお願いしておきますよ.

残念ながら (ということはないが),その「いずれ」はもう来ないみたいだ.やはり平凡助教授まで載るような状況というのは,この栄誉ある紳士録としては末期症状だったということなんだろうな.合掌.

引用記事に「レトロ風の赤い装丁と高価格も相乗し、まさに貫禄(かんろく)ある人名録となった」とあるけど,こういう強気の価格設定もシグナリング (←天谷というゲーム理論家があげてる例の「逆」っぽいけど) というのかしらん.

スポンサーサイト
【2007/04/21 08:49 】
| 社会 | コメント(0) | トラックバック(0) |
林貴志『ミクロ経済学』

昨日大学のレターボックスをチェックしたら,ミネルヴァ書房から本が届いていた.中級ミクロの本だ:

  • 林貴志. ミクロ経済学. ミネルヴァ書房, 2007.

著者名は Hayashi, Takashi とよみ,テキサス大学の新進気鋭の研究者だ.「4月20日初版第1刷発行」とのことで,この本の存在はまだ知らなかった.したがってこの本はボクが注文したわけではない.「謹呈」のしおりは見あたらないので,あとで代金を請求されるんじゃないかと不安もないわけではない.が,おそらく「授業で学生に買わせろ.それが無理ならブログで宣伝しろ」ということなのだろう.

蛇足.ビジネススクールの経済学者という立場上,残念ながら中級ミクロ経済学書を使えそうな授業を担当する予定はない.日本語の中級書は,たしかに学部上級科目や (わが大学レベルの) 経済学大学院修士課程の科目のためには存在意義があるだろう.しかし多くの大学で科目の単位数が 2 単位になっている現状を考えると,しっかりした本は使いにくい現実がある.最近の日本語中級のミクロ経済学書としては,ほかにも次のものに注目している.林 (2007) を「古典的」というなら,こちらは「現代的」といえるかもしれない.

  • 塩澤修平, 石橋孝次, 玉田康成 (編). 現代ミクロ経済学: 中級コース. 有斐閣, 2006.

入門書までふくめれば,ブログで紹介してみようかなと思った本は最近いくつかある.(とりあえず絵を眺めているだけで楽しい畑村洋太郎『技術の創造と設計』とか.メカニズムデザイナーなど,緻密な思考を要求される数理的理論家に求められる創造性の水準はもっと高い気もするが.) 経済学とはどんな科学かを説明した部分がひじょうに気に入った入門書『ミクロ経済学をつかむ』,そしてマクロ書としてはほんとうにひさしぶりに買った『マクロ経済学をつかむ』などだ.特に後者は overlapping generations model (重複世代モデル) が学部入門書で徹底的に展開できる時代になったかと感慨深いものがある.(「これならマクロ経済学を教えてもいいぞ!」とか血迷ったりしそうだ.ああ,でもこの本の導入部は分かりにくい.) そのモデルはボク個人は Neil Wallace に大学院ではじめて習ったもので,あのころこんな本があればミネソタのマクロにももっと楽に入れたであろう.

というわけで,この本の印象を述べてみよう.読んではいないけど,全体に渡って眺めたので,「印象」くらいは述べられる.

蛇足.ざっと眺めて最初に印象に残ったのは以下のような点だ.iv 頁にある「経済学的に需要でないと判断したとき」は「経済学的に重要でないと判断したとき」じゃないか.274頁に無羨望な配分としてあがっている x** は図中の位置がおかしいんじゃないか.揚げ足取りはこのくらいにしておこう.

執筆のスタンスはなかなかボク好みだ.一言で言えば,「理論を吟味する視点が濃厚である」とまとめられるだろうか.ところどころに見られる注釈的な解説 (著者は「くどさ」という) が,中級者にありがちな誤解を解いてくれることだろう.特に効用の意味と無意味についての議論には力が入っている.(ただ,55 頁にある「効用最大化というのは……それ自体には何の経済学的意味もない」という言い方には賛成できない.おそらく著者の意図するところは「最大効用 (最大化された効用) というのは……何の経済学的意味もない」ということだろう.)

第6章「便益と余剰」は例外的にきちんと読んだ.著者が重視している章であることはまちがいない.要するに「効用」と「便益」(財を取得するために支払ってもよい額; ニューメレール単位で測られる) は区別せよというのがメッセージだと思う.個人的には,以前の記事「評価額と支払い能力にかんする基礎論: ハーヴィッツの呪い?」で展開した議論を思い出した.「そんな中途半端な議論を展開しないで,ちゃんとオレの本を読め」というメッセージを込めて,著者はこの本をボクに送って来たのではと思えるほどだった.(その記事の議論が中途半端であるのにはわけがあって,著者が73頁で「以下の議論は『苦しい』」と書いていることにもかかわる.) というわけで,その記事で頭が混乱した読者にもこの章を薦めておく.読めば疑問の一部は解けるであろう.

追記 (4/15/2007). 昨日は指摘するほどではないと思っていたけど,やはり気になることがあるので指摘する.280頁に「社会厚生関数的な」例としてボルダ・ルールが挙げられている.だが,ボルダ・ルールにはその直前で展開された「基数効用にもとづく」という批判は当たらないと思う.選択肢がぜんぶで m 個あるとき,「ボルダ・ルール」というのは,選択肢に各個人が (最悪の選択肢に1点,……,最善の選択肢に m 点という具合に) つけた点数を合計した得点によって選択肢を順序づける方法である.各個人がつける点数自体を効用と考えれば,その効用を合計していることになるので,たしかに効用に依存する概念に見えないこともない.しかしこの点数自体を効用と考える必要はない.ようするにこの点数は,特定選択肢よりも好ましくない選択肢の数を数えて1を足せば求まるわけであり,(すべての選択肢にたいする) 選好だけに依存する概念である.(特定の選択肢の点数は,その選択肢よりも効用の低い選択肢の数で決まる---よって効用関数には依存しない.) このような意味で,ボルダ・ルールは基数的効用に基づいているとはいいがたい.以上から,「無関係選択肢からの独立性」を個人の序数的選好のみに依存することと同一視する281頁の議論には注意が必要だろう.(ボルダルールは独立性を破る一方で,序数的選好のみに依存している.)

批評だけではつまらないので,少し創造的になって,上の議論からおもいついた研究テーマを提示してみよう.社会選好を決めるルールが《効用主義的》とは各人の効用関数が存在して,社会選好が効用の合計によって決まることと定義する.社会選好を決めるルールが《厚生主義的》とは各人の効用関数とある社会厚生関数が存在して,社会選好が社会厚生関数によって決まることと定義する.ルールが効用主義的になるための条件は? 効用主義的であることと,基数効用に依存することとの関係は? (ボルダ・ルールはここに提示した意味で効用主義的であるが,基数効用に依存しない.) こういった問題を考察することができるだろう.たぶん研究されていると思うけど.

追記 (6/15/07). 関連サイトを以下にいくつか挙げる.

  • 正誤表 (著者のページ). 誤り募集中みたいなので,みなさんどしどし応募しましょう! 現時点では上の「揚げ足取り」で言及した iv 頁のタイポにはじまり,これまたそこで言及した 274 頁の図のミスで終わっている.ボクが著書を最初と最後からそれぞれミスが見つかるまでスキャンしたみたいに見えるかもしれないが,単なる偶然だ.
  • よりバランスのとれた書評 (Essay, dated. by tazuma)
  • 書評の予告?(ECONO斬り!! by yyasuda)
【2007/04/14 16:09 】
| 社会科学 | コメント(4) | トラックバック(0) |
| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。