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ソロモン王とか香川大学でのセクハラとかアカハラとか

さて,前々回前回の記事で「王様ゲーム」や「オッパイ」や「オークション」や「強制参加」や「参加しない自由」に言及したのにはふか~い深いわけがある.それらは「ソロモン王のジレンマ (King Solomon's dilemma)」という非分割財配分の有名な問題,そしてそれにたいする最新の解決法にかかわるのだ.(非分割財とは整数単位でしか供給できない財.「王様ゲーム」と「オッパイ」はソロモン王のジレンマを誘導するための伏線.「オークション」「強制参加」「参加しない自由」はそのジレンマの解決法に本質的にかかわる.)

ちなみに「知恵」で有名なソロモンという王様は,ちゃんとエロなこともやっている.(たとえば精神病理を専門とするあるクリスチャンのまじめな聖書人物紹介にも,「異教の女を妻や妾として迎え、その総数は1000人におよび」,「彼の女性に対する執着は一種の病的なもの(Addiction)とも言えるレベルに達しております」とあるとおり.) ボクが王様ゲームを楽しむエロ助教授を持ち出したのも,ひじょうに理にかなっているわけだ.

なんてったって千人だ! 「キスしようと教授に言われた」と女子学生ひとりから苦情があっただけで,その教授の「セクハラ」業績として認められてしまう香川大学医学部とは次元がちがう.このことにかぎらずどうもあそこは業績評価が甘すぎる.1000人とはいわないが,せめて100人くらいから苦情がなければまだまだだ.うちの大学なんか,「百人斬りした」と豪語する教授もいる,あるいはいた.(100人とエッチしたんであって,単にキスしようと言っただけじゃない.念のため.なお「百人斬り」は平成香川大学に転職する前の話であり,転職後の実績は知らん.)
セクハラもできないようではたいした学者にはなれないよ
と笑うその教授にボクは「関係あるんですか?」以上の反論はしなかった.べつに同感したわけではないのだが,次から次へと精力的に研究成果を発表してきたその教授の言葉に,ある種の重みを感じたのであった.

それにしても医学部は,女子学生が間接キスを迫る頻度が高い香川という文化圏にあって (なにかの儀式なのだろうか; 断ったら「セクハラ」とか言われるんだろうか; やや趣旨が違うが「期末試験日のキスとか握り合いとか身体検査とか: 6月7日の授業裏ログ」も参照),思い切りズレた判断をしたものだ.「過敏性腸症候群なんできょうは間接キスはやめとくけど,直接キスならいいぞ」といった気の利いた対応もできなくなってしまうではないか.

香川というカルチャーを無視して,地元を敵に回したのは医学部だけではない.大学レベルでも愚挙 (あるいは華麗な戦略) があったばかりだ.発端は,教育学部というか教育学研究科であった話だ.「言論統制派の陰謀? 『香川大の教授がアカハラ? 調査委設置へ』だって」に書いたアカデミック・ハラスメント問題である.調査委員会の結論は,アカデミックハラスメントがあったというより授業が手抜きだったということのようだ (四国新聞).特定のひとりの教員の責任とせず何人もの教員を処分したという点では,それなりに思い切った結論だった.しかし,「なんだ単なる手抜き授業か」というのが事の真相ならば,たいしたアカハラはなかったことになるし,今回の処分は過剰に思える.だいたい,まともな授業を期待する大学院生の認識のほうがおかしいと言えないか.多くの大学院では授業なんておまけのようなもの.あくまでも自分で研究するのがメインだ.大学院生はそのように理解した上で入学しているんじゃないのか? それに不満なら,よその国の大学院を選んだ方がいい.

だが,こういったことはポイントではない.ポイントは,教員が授業時間に学生をつれてさぬきうどん店巡りをしていたことを処分の口実にしたことにある.「地域貢献」と言っている大学が,こんなやり方で地元を敵に回してだいじょうぶなのだろうか.それとも,もしかするとこれは「たとえ処分をされようとも,それでも食べたいさぬきうどん」を全国的に知らしめ,それを通じて大学にたいする地元での評価を勝ちとるための,したたかな戦略なのかもしれない.なかなか手の込んだ技をみせつけるじゃないか,香川大学!

[8/9/2006 追記] お休みをもらった美術教員たちはとりあえず創作活動に専念したらどうだろう.授業時間を使ったうどん屋めぐりで作品のヒントはじゅうぶん得ることができただろう.うどん自体をモチーフとした作品なんかは香川では珍しくもなんともないので (それをやるなら作品の完成度をじゅうぶん高めてもらわなければ納得できない),うどん自体ではなくうどん屋巡り,あるいはそれが引き起こした社会的帰結あたりまでを視野に入れた批評性の高いアイロニーに満ちた作品なんかどうだろう.

脱線が長くなってしまった.ソロモン王のジレンマの記述とその解決法については,次回に譲る.簡単に言えば,ある赤ん坊を自分の子供であると主張しているふたりの女がいて (これで前回「オッパイ」が出て来た理由が分かったかな?),ソロモン王は本物の母親にその子を渡したい---というのがソロモンの問題だ.過去に提示された解決法としては,それこそ前回の演習問題正解で述べた類いのヘンなオークションを応用していたり,これも前回書いた all-pay オークション (これもヘン) を応用していたりする.もっとストレートな解決を (述べたペーパーを) 見つけたので,乞うご期待.

ソロモンの問題にたいするメカニズム・デザイン (あるいは遂行理論) からの初期のアプローチを概観しておきたい読者は,「メカニズム・デザイン: レクチャー・ノート」(三原麗珠) でも見て予習するのもいいかもしれない.[8/11/06 追加: ソロモンの問題にかかわる Figure 5.3 はこちら.] ただしそのノートは,エージェントが互いの (配分すべき財への) 評価額を知っている (いわゆる「完備情報」の) ケースばかりをあつかっている.また,最新の解決法を述べたペーパーにある,弱支配戦略の繰り返し削除による遂行などはあつかっていない.さらに,メカニズムを複数段階にすることによって遂行問題を解くのが格段に簡単になることを強調しすぎているきらいがある.(格段に簡単になること自体は正しいが,べつに複数段階メカニズムにしなくてもたとえば弱支配戦略の繰り返し削除を考えればそうとう簡単になる.Abreu-Matsushima メカニズムその他で有名なあの松島斉が,ある展望論文 (経済研究 47:1-15, 1996) で「多段階ゲームによるメカニズム・デザインのメリットが過度に強調され過ぎている [ママ] きらいがある」と指摘したとおりだ.ちなみに同論文はメカニズム・デザインの「創世紀」までさかのぼってその「史的展開」を概観しているので,てっとり早く背景知識を獲得したい読者には便利だろう.ちなみにボクは「創世紀」というのが,単に「創成期」のことなのか,旧約聖書の冒頭の「創世」を念頭においたメタファーあるいはアレゴリーなのか,いまだに判断できずにいる.)

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【2006/08/08 19:05 】
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