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「きみでセックスしたい」: 実験言語学

「ダメです」.「お気持ちは分かるんですけど……」.実験はむずかしい.そう感じさせられた一週間だった.

《セックスする》とか《エッチする》という動詞の前にどういう助詞をつければいいか悩んでいたボクは,ふと思いついた.「社会科学で可能ならば語法・用法の調査にも可能だろう」.そう,ひとむかし前の実験経済学や実験政治学の紹介はいつも例の枕詞で始まっていたのだ:「社会科学の分野では実験は不可能だと言われてきた」.

「あたしを抱いて」「あたしと抱き合って」「あたしに挿れて」「あたしで抜いて」.こういった動詞がつく助詞はだいたい固定されている.「あたしと抱いて」とか「あたしを抱き合って」とは言わない.では,似たような意味の《セックスする》はどうか? いくつかの用法と,ボクなりの語感を書いてみる:

  1. 「あたしをセックスして」.たぶん言わない.しかしまちがいとは言えないのでは.「あたしを攻めて」とは言うから.
  2. 「あたしにセックスして」.自分に向かって来いと言ってる感じ.
  3. 「あたしとセックスして」.いっしょにやる体験を重視してる感じ.
  4. 「あたしでセックスして」.自分を道具のように扱って欲しい感じ.

以上はあくまでもボクの語感だ.残念ながら辞書ではどれが「正しい」のか分からなかった.問題意識が共通しそうな詩「それヲ、それデ」も見つけたが,答にならない.まして現代の若い女性たちがどの用法を自然と感じるのかは,もっと分からない.「こうなったら実験だ」.思い立ったが吉日,ボクは卒論が通って成績も出たばかりのゼミ生たち (女子学生) をひとりひとり研究室に呼んだ.人間をあつかう以上,相手の権利にも配慮しなければならない.成績も提出してしまった現在,学生と教員という《パワーのちがい》というか《力関係》もなくなり (もともとほとんど無いのだが),セクハラの必要条件が成り立たないので,その点への配慮も完璧である.

「卒業おめでとう.これでキミちゃんとボクとは対等な男女関係ということでキミちゃん,キミセックスしたいのだけど」.

実験経済学には関心ないボクだが,いくつかの約束は設けておくべきだろうということは想像できるので,憶測で以下のような制約を設けた: (i) 実験の目的は説明しない.(ii) ひとりの女子学生には一つの用法だけを試す.(iii) 女子学生が「いいですよ」と応じてくれた場合に限りその実験の目的を明かし,それでもいいと言うなら,後日実行する (その場では実行しない).そして,できるだけ唐突に上記の発言をしてみた.もちろん「キミでセックス」の部分の「で」は,そのたびごとに他の助詞と入れ替えた.

結果.上にリストした「を」「に」「と」「で」のそれぞれについて,「ダメです」という返事が 2, 1, 1, 2 件あった.すべての用法がダメだと判断されたわけで,いったいどの助詞を付ければいいのか途方に迷う (暮れる) ボクであった.ただ,「キミセックスしたいのだけど」「キミセックスしたいのだけど」については,「お気持ちは分かるんですけど」に類する返事が,1件づつあったので,どうやら意味は通じているらしい.「を」と「で」については,吹き出してしまった女子学生がひとりずついたので,不自然な用法だということかもしれない.あと,後日実行することにつながったのは,「で」であった.「いいですよ,アタシで抜いてくださいね」という反応から判断して,こちらの意図は的確に伝わったと考える.「で」がいちばん効果的な助詞ということかもしれない.

考察.思い返せば,あまりにも稚拙な実験であった.意味がある結果は得られなかったと言わざるを得ない.しかし最初のステップとしては,これでもいいと考えている.今後,多くの研究者がこの実験結果を参考にし,より改善された実験を通じて,特定の助詞と動詞の結びつきが若い女性に与える感覚を明らかにして行くことを望みたい.「キミセックスしたいのだけど」.そう女子学生に話しかけるところから,実験言語学の未来は拓けて行くのだ!

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【2006/01/29 21:29 】
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