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学術系のワンクリック詐欺にひっかかった

名前も知らないヨーロッパ人のエディターから,学術誌のレフェリー (査読) の依頼メールが届いた.「あなたの専門的知識を考慮して,誰々があなたを推薦した」ってあるけど,その「誰々」がエディター自身の名前になっているのは大丈夫なんだろうか.今回は哲学系のジャーナルだ.何度かお世話になった出版社の出している,けっこう有名なジャーナルだ.平成香川大学もオンライン版を購読しているので,私の自宅からペーパー全文をダウンロードできる.ただし経済学者はほとんど知らないジャーナルだ.

依頼メールの最初のリンクをクリックしたら,査読すべきペーパーが fdf ファイルでダウンロードされた.Fdf といファイル形式は知らなかったが,Adobe Reader が勝手に開いて中身が現れた.メールの次のリンクをクリックしたら,「査読の承諾,ありがとうございます」と出てきて,詳細として以下のような記録が現れた.

Date Reviewer Invited: 03 Jul 2005
Date Reviewer Agreed: 04 Jul 2005
Date Review Due: 01 Aug 2005
Days Until Review Due: 28

ふむふむ,たしかにメールにも「48 時間以内に返事せよ」とか「レフリーを承諾したら28 日以内にリポートを出してください.どうもありがとうございます」とある.ちゃんと28日後の日付が現れるのだ.こんなに締め切りがはっきり表示されるシステムは初めてだ.

さて,問題のペーパーをざっと見たが,それは「数学の哲学」のペーパーだった.ゲーデルとかチューリングとか,知っている専門用語 (というか,これらは人名だが) が散らばっている.だが,知らない用語が多すぎる.だいたい,こんな高尚な議論の哲学的価値なんてボクには分からない.こりゃヤメだ.そう思って,査読の承諾を取り消そうとする.

どうやらメールの三番目のリンクが,取り消し用らしい.より正確には,「時間がないばあいや自分にはやる資格がないと思うばあいはここをクリックせよ」とある.クリックしたら以下のメッセージが現れた:

This action is not currently available. Common causes for this are 1) You may have already accepted or declined the review invitation 2) ...

要するに「あんたはすでに査読を承諾したのだから今更取り消しはできない」ということらしい.なんだなんだ! どうやったら取り消せるんだ…….しばらく探したが,その機能は見つけられなかった.仕方ないので,ボクはその場で一言だけリポートを打ち込んで,さっさと送った.こんな短いリビューは初めてだ:

「残念ながら私はこのペーパーをリビューできません.」

じつは,このリポートを打ち込む欄も立派なもので,「このペーパーのテーマはこのジャーナルのカバーする範囲内にあるか?」だの,「タイトルは内容をじゅうぶん明確に表しているか?」だの,「省略できる部分はないか?」だの,「文献は十分か? 不必要なものは入ってないか?」だの,ご丁寧にもぜんぶで12の具体的な質問が挙っている.同じ出版社の経済学系のジャーナルで何度かレフリーをしたときは,こんなの見たことがなかった.それどころか,レフリーのためのガイドラインはないかと尋ねて,そんなのないよお好きにどうぞと言われたことさえあった.さすが哲学者はちがう.さすが経済学者はちがうというべきか.

さて,リポートを送り終えると,最初に引用した記録の欄に以下が追加された:

Date Review Submitted: 04 Jul 2005
Days Taken: 0

これでよしと! (本当にこれでよかったんだろうか.)

追記.上記の操作のあと,念のため「できません」と返信した.すると直後に「ペーパーの査読をありがとうございます」とメールが来た.単なるミスではなくて,ある種の圧力をかけようとしているのではなかろうか.この詐欺にひっかからないための注意事項をふたつ挙げておこう:

  • リンク元に"accept" のような明確な表現がないことがある.たとえば私の受け取ったメールでは "If you are interested in reviewing this submission, please click on this link" とだけあった.そのリンクをクリックしたらレフェリーを承諾したことになってしまい,取り消せなかった.(「Be interested in なんとか」というのは,「なんとかをやると決めた」というのとは若干ちがうと思うのだが.私の英語の理解がおかしいのだろうか.)
  • たとえ最初に断ったばあいでも,一度 accept のリンクをクリックしてしまえば取り消せなくなる可能性がある.私のばあい,最初に accept してしまったので,最初に decline したときのことは分からない.
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【2005/07/04 23:31 】
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